「彼女と彼女の事情」



平和なブルボンの可愛いお菓子たち。
今日のお茶は何にしようかしらと、みんな午後のひとときを楽しんでいます。
おや、なにやらルマンドたんとルーベラたんが言い争っているようです。

「ワタクシの勝ちですわ。今、計算をしてみましたが、トップとアンダーの差が落ちつつあります。バストアップの頑張り過ぎよ」

「おふざけあそばせ! たかがカップのひとつ、天○のブラで押しあげますわ!!」

「ばかな真似はお辞めになさったら!!」

「やってみなければ結果は出ませんことよ!!」

「正気か?」

「貴様ほど急ぎすぎもしなければ、成長に絶望もしちゃいない」 

「身体の老化は始まっているんだぞ」 

「おっぱい揉み揉みバストアップは、伊達じゃない!」

なにやっとんねん。
いつも仲が悪い二人ですが、この事の起こりは一ヶ月前…



「貧乳ね(プゲラ」



とルーベラたんが言ったのが始まり。
それにカチンと来たルマンドたんが、ルーベラたん相手にバストアップ勝負を挑んだのでした。
たんにおっぱいの大きさで勝敗を決めてしまっては、元からのハンディがありますので、ここは一ヶ月にどれだけ大きくできるかを競ったのです。
そして牛乳を飲んだり、エクササイズをしたり、VIPにスレを立てたりしているうちに一ヶ月が過ぎ、測定の日。
どうやらルーベラたんの方が幾分大きくなったようです。しかし、ここはプライドにかけて、ルマンドたんも負けられません。どうにかこうにかカップだけでも追いつこうと頑張っています。
……いいのか?
……下着姿でおっぱいについて喧々轟々となる女の子たち、それでいいのか青春?
オゥイエス青春っ!

「潔く負けをお認めになったら如何ですの」

「ううう…いったい、どれほど血の滲むようなバストアップを…?」

いやなバストアップだな。
するとルーベラたんは、勝利の笑みとともに髪をかきあげ、

「バキュームマシーンですわ」

「な…!」

がくっと膝を折るルマンドたん。
地に突いた両腕が、かすかに震える。
怒り。哀しみ。嘆き。
そういう言葉が頭の中に次々と浮かんできては、消えていく。

「機械に…頼ってまで…」

「けど、これが結果ですのよ。過程を、均一ないし主観の概念で決定するのは愚かですわ」

「然り。…人としての尊厳をやたら振り翳すなど、はしたない真似しとうございません」

「ルマンドさん」

「何ですか」

「お使いになりたいんでしょ?」

「だから、何をですかっ!」

思わず胸を隠すルマンドたん。
朱に染まったその頬を、ルーベラたんの細指が撫ぜる。

「ふふ、すべすべ。あ、ほら、動かないの」

「ななな、なんですのよ…んっ」

「あら、首筋が気持ちいいの? 落ち着いて、力をお抜きになって」

「え…んん… ……あ…ふぁ…っ」

「素直になって、自分のちっさい胸にお聞きなさい」

「あんだとゴルァ」

「痛い痛い痛い、しまるっ、決まってますわ!」

「そのまま落ちろ」

「ああっ、ひゃんっ! ダ、ダメですわ、これ以上は…る、るーべら、らめになっちゃう…」

「あのぉ」

「「はい?」」

「そういうマニアックなプレイはぁ、できれば別室でぇ」

お茶を飲みながらおっとりした口調で言ってきたのは、ブランチュールたん。

「ど、どこがマニアック…じゃなくて、プレイに見えるんですかっ!」

「けほ…そうですわ、だいたい見られながらという羞恥心こそ」

「貴女はお黙りあそばしっ」

「ルマンドのいけず」

「黙れ!!」

シェイクされていた。
ルーベラたんの頭が。
チョークスリーパーでがっちりホールド、毎秒3回の速度でそりゃぁルーベラたんだってイってしまいます。

「まったくもう。着替えてきますわ」

30秒はたっぷりゆすられ、目を回して机に倒れるルーベラたん。
下着姿の少女は、部屋を出て行った。
もう1人の下着姿は、まだ頭が揺れている。。

「るまんどさぁん、はげひいですわ〜」

「うふふふ、仲がよろしいですねぇ」

「う〜ん。…仲がいい?」

「そうお見受けしましたわぁ」

「喧嘩するほどってやつですか? お生憎様、ワタクシは友人などと思っておりませんの」

「なら、どう思っているのですかぁ?」

「反りが合わないんですの。自尊心が高くて、強がりで」






ルマンドが着替え部屋の扉を開けると、中にはチョコリエールたんがいた。
彼女はルマンドを見とめると、こう言った。

「オゥイエス青春」

「………」

「………」

「………な、なんですのチョコリエールさん」

「ズロース下着GJ」

グッと親指を立てられた。
どうすればいいのだろう。
とりあえず頭を揺らしといた。

「なにするんですか…」

「言動がどこぞのお馬鹿さんと同じだったからですわ」

「ルーベラさん?」

「まったくもう。何かとつけて勝負をつけようとするんですのよ」

「仲いいね」

「ご冗談を。こんなんじゃ喧嘩仲間になってしまいますわ」

「仲の良い証拠です。喧嘩できるほど、相手のとことを知っているんでしょう?」

「それはそうですが、疲れますわ。何故突っかかってくるのやら。リボン直していただけません?」

「座ってください。…そうですね、ルマンドさんは、どう思っていらっしゃいますか?」

「彼女はプライドが高うございます。だから、じゃないでしょうか」

「だからって? できました」

「有難う存じます。だから…」



「ルマンドさんは」「ルーベラさんは」

『…気が強くて…でも、弱いところもあって…本当、自分みたい』



ブランチュールたんがカップをソーサーにおいて言った。

「同属嫌悪なんですかぁ?」

「そうかもしれませんわ。でも、いいんですの」

「?」

「こうやって喧嘩することで、ワタクシは彼女と違うってことを認識できる。喧嘩なんてたいした理由ではないですわ。ただ、あの人と…どう接すればいいのかと」

「…不器用なんですねぇ。貴女もぉ。彼女もぉ」

「そうですわね」

そう言ってルマンドたんは苦笑した。
でも、嫌な顔ではなかった。
扉が開き、ルマンドたんとチョコリエールたんが一緒に帰ってきた。

「あらぁ、チョコリエールさんもいらしましたのねぇ。何をお飲みになりますかぁ?」

「八海山」

「貴女はオヤジですかっ」

「あーっ!!!」

突っ込みをいれるルマンドたんに悲鳴のような声を上げたのはルーベラたん。

「な、なんですの…」

「まったく貴女って人は、人の真似しないで下さる!?」

「ちょ、ちょっと待って下さいな。何の話やら」

「自分の頭についてるものを見てほざき下さいませ!」

「へ、頭?」

そっと頭に手をやると、そこにはふわふわの。
ネコミミ一丁。

「なななな、なんですのこれは!」

「ワタクシの台詞ですわ! 其処までして属性を取り入れたいというのですか!?」

「ご、誤解ですわよぅ。いったい…はっ、チョコリエールさん!?」

唯一ルマンドたんの頭に触れた人を振り返る。
そこには、

「ナイス似たもの同士。ぐびっ」

「さぁ、もう一献どうぞぉ」

出来上がり始めのチョコリエールたんがいた。
あったんだ。
八海山。

「あーん、責任逃れしないでくださいまし〜!」

「さぁ、さっさと外してくださいな! 他人に見られたら仲が良いと思われてしまいますわ」

「私こそこんなもの願い下げですわっ!」

「なんですってぇー! だいたいネコミミつけられて気が付かないなんて、鈍感にも程があると思いませんっ!」

「きぃー! 言いましたわねー!」

平和なブルボンの可愛いお菓子たち。
今日の肴は何にしようかしらと、みんな午後のひとときを楽しんでいます。










<おまけ>

「ふふ、すべすべ。あ、ほら、動かないの」

「ななな、なんですのよ…んっ」

「あら、首筋が気持ちいいの? 落ち着いて、力をお抜きになって」

「え…んん… ……あ…ふぁ…っ」

「素直になって、自分のちっさい胸にお聞きなさい」

「そ、そんなに小さくないもん…」

「あら、どれどれ」

「あっ…きゃんっ」

「感度は良好ですわね。先? 乳首が感じますの?」

「ん…あ、ふぅ…… んくっ…ぅ…」

「こんなに淫らになって、ルマンドたんはイケナイ娘ですわねぇ」



タイトル「彼女と彼女の情事」





こんなんでごめん。

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